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●「舟を編む」三浦しをん [読書レポート]

「舟を編む」三浦しをん
辞書編纂の魅力に引き込まれた人々の物語


舟を編む (光文社文庫)

舟を編む (光文社文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: Kindle版


読了日:2023.4.3
分 類:長編
ページ:259P
価 格:1500円
発行日:2011年9月発行
出版社:光文社
初 出:CLASSY.(光文社刊)2009年11月号~2011年7月号
評 定:★★★★★


●作品データ●
---------------
主人公 : (荒木 公平、)馬締 光也、西岡 正志、岸部 みどり
語り口 : 三人称(である調)
ジャンル: 長編
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 現代、リアル
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【100字紹介】
辞書は言葉の海を渡る舟。そんな想いをのせた「大渡海」を編む。 お金も時間もかかるものの、出版社の屋台骨になれる辞書作りに関わる人々の、 十五年越しの物語を複数の視点から紡ぐ人気作。2012年本屋大賞受賞


10年ちょっと前、この作品が流行ったころに、周りでも評判でした。
でも「舟?え?職人さんの話?」と思い、何となくそのままになっていました。
まさか、辞書つくりの話とは。何故、舟?となりましたが、
それは冒頭の方のエピソードで出てきます。

言葉の海を渡る辞書「大渡海」の制作と
その周りの人々の紡ぐ物語だったのですね…。

時間的には制作の始まって少し経った時期と、終盤から完成時期の2つに分けられ、
その中でも視点でもう少し細かくパートが分かれます。
主人公というか、視点は当初は「大渡海」立ち上げメンバーの荒木さんで、
自身の定年後の辞書編集部の行く末を案じつつ、
のちに主要メンバーとなる馬締光也を見出すところ。これがプロローグですね。
本編は、前半は馬締が中心、後半は岸部みどりが中心ですが、
間に辞書編集部を去っていく西岡が入ることで、より深みが出ている気がします。
また、最後はやんわりと馬締に戻ってきます。
視点にはならなかった松本先生も、その人生に思いを馳せざるを得ない「手紙」を
最後に繰り出してきます。

馬締、西岡、岸部みどりはキャラの色合いも立ち位置もだいぶ違いますが、
それぞれがそれぞれの物語を、心を揺らしながら生きている感じがよく出ていました。
リアルとしては、馬締タイプより岸部みどり寄りの人が多そうです。
西岡は面白いですね。本人の視点を読むのも面白かったですが、
外から見るとこう見えるんだなーというのが、とてもうまいと感じました。

それにしても…物語としてはこうならざるを得なかったと思いますが、
それでも、どうしても、松本先生には「大渡海」の祝賀会でも
用例採集していてほしかったな、と思います。
まあ、あの世でやるそうですが。
あんなお手紙を遺せるような人になりたいものですね。

「みなさんの、『大渡海』の、末永く幸せな航海を祈ります。」

気に入った一文として、こちらと荒木さんの説明とどちらを取るか、
物凄く迷いました。が、これは最後まで読んできた人だけが
しみじみと味わえる文章だと思うと、単独で掲げるのはやめようかなと。

この物語はあくまで、辞書作り部分が中心になっていたので、
視点にならなかった人々の人生までは掘り下げはしないのですが、
松本先生の人生も少し、気になりました。
何だろう、若い岸部の物語はぼーっと眺められるのですが、
荒木さんや松本先生の生き方が気になってしまいます。
そういうところで、自分が年を取ったのかな、と思ったりする今日この頃です。

本書は、映画化、アニメ化をされたことを今回知りました。
しかもアニメ、菜の花の大ファンの声優さん…!
リアルタイムで見たかったです…。
逃してしまって残念。でも各回の「予告編」動画は
今でも公式サイトで公開されていたので、それでもそこそこ満足しました。

面白い物語だったと思います。


菜の花の一押しキャラ…松本 先生

「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」(荒木 公平)


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文章・展開 :★★★★
簡 潔 性 :★★★★
学 術 性 :★★★★
独 自 性 :★★★★★
読 後 感 :★★★★
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●「なんでも魔女商会 お洋服リフォーム支店」あんびるやすこ [読書レポート]

「なんでも魔女商会 お洋服リフォーム支店」あんびるやすこ
シリーズ第1作。ナナが森で見つけたのは…


なんでも魔女商会 お洋服リフォーム支店 (おはなしガーデン)

なんでも魔女商会 お洋服リフォーム支店 (おはなしガーデン)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2003/11/28
  • メディア: 単行本


読了日:2023.4.1
分 類:児童書
ページ:127P
価 格:1100円
発行日:2003年11月発行
シリーズ:なんでも魔女商会シリーズ
出版社:岩崎書店
評 定:★★★


●作品データ●
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テーマ : お裁縫
語り口 : 三人称(ですます調)
ジャンル: 児童書
対 象 : 小学生(中学年)向け
雰囲気 : ファンタジー
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【100字紹介】
なんでも魔女商会シリーズ第1作。 転校したばかりで学校になじめないナナが見つけた、森の中のお店。 用がなければ入れないはずのお店にきたナナに驚く支店長の女の子・シルク。 そこへねずみのお客さんがやってきて…


小学生の女の子ふたりで切り盛りする、森の動物たちのお菓子屋さんのお話の
ルルとララのシリーズと同じ作者の別シリーズ第1作。
同じような世界のお話でしょうか。(コラボもしていましたし)

こちらの主人公は、たぶん、小学生の転校生・ナナ。
普通の人間の女の子です。
彼女が森の中で素敵なお店を見つけ、入ってしまうところから物語は始まります。

そのお店は、本当なら用のある人しか入れないような魔法のかかった、
「なんでも魔女商会 お洋服リフォーム支店」。
お洋服のお直しを専門にするお店です。
支店長を任されているのは、見たところナナと同じくらいの女の子・シルク。
魔女のようです。でも、高級なお直しは、魔法を使わないんですって!
シルクに仕える猫のコットンは、物腰柔らかでお茶やお菓子でお客様をもてなしてくれます。


今回のお客さまはねずみさんたち。
いつもお世話になっているくまさんのために、
春がきたことを祝い、若者の出会いの場でもある「たんぽぽカーニバル」で着るドレスを
お直しで作ってほしいということですが…
何しろくまさんのドレスを、ねずみさんのドレスから作ろうとすると…。

一度は断ってしまうシルクですが、ナナ活躍。


全般に、ルルララより対象年齢は高めですね。
まずページ数が多く、イラストがやや少なめ、文字は小さめ、
文字数はかなり多いです。ルルララは絵本寄りですが、
こちらはもう、完全に児童書。

でもどうでしょう…。複雑になっているのに、
物語の内容的にはあまり変わらないかも。ルルララの密度が濃い。
でも、その分、登場人物たちの心情が少し深くなっているようです。
読者層に近い感じになっているのでしょうね。


それにしても、最後のくまの若者、なんでしょう、役得?


菜の花の一押しキャラ…コットン

「わたくしどもの世界では、魔法でつくったものは安物とされております。」(コットン)


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文章・展開 :★★★
簡 潔 性 :★★★
学 術 性 :★★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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●「ルルとララのしらたまデザート」あんびるやすこ [読書レポート]

「ルルとララのしらたまデザート」あんびるやすこ
シリーズ第15作。七夕用に和風デザートを


ルルとララのしらたまデザート (おはなしトントン)

ルルとララのしらたまデザート (おはなしトントン)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2012/06/09
  • メディア: 単行本


読了日:2023.3.19
分 類:児童書
ページ:71P
価 格:1000円
発行日:2012年6月発行
シリーズ:ルルとララシリーズ
出版社:岩崎書店
評 定:★★★


●作品データ●
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テーマ : お菓子
語り口 : 三人称(ですます調)
ジャンル: 児童書
対 象 : 小学生向け
雰囲気 : おいしそう、ふんわり
---------------

【100字紹介】
森のお菓子屋さんルルララシリーズ第15作。 今は別の場所で暮らす動物たちもみんな帰ってくる「ほしまつり」。 人気のねこサーカスのチャップに想いを寄せるねこのマロン。 年に1回の逢瀬を和風デザートで応援します


小学生の女の子ふたりで切り盛りする、森の動物たちのお菓子屋さんのお話の
ルルとララのシリーズ15作目。季節は初夏。七夕の頃です。
織姫・彦星伝説は人間と暮らす猫たちは知っていますが、
多くのどうぶつたちにはなじみのないもの。
でも同じころにある「ほしまつり」が動物の世界にはありました。

「ほしまつり」は夏の夜空の下、仲よしや懐かしいもの同士が集まって
踊ったりごちそうを食べたりして語りあかすお祭り。
普段は遠くで暮らす動物たちも集まってくるお盆のような時期です。
そんな中に帰ってくるのが村の名物になった「ねこサーカス一座」。
ひとりの人間が始めた、ねこだけのサーカスですが、何と海外公演までしているのです。
そんなねこサーカスもほしまつりには帰ってくる…。
中でも人気の「玉のりチャップ」は、幼馴染で家ねこのマロンと憎からずの中のようですが、
マロンは一緒に暮らしている病気の女の子を置いてチャップと行くことは出来ないのです。

そうやって一歩を踏み出せないまま、久し振りの再会と恋を応援するため、
今回のルルララは和風で攻めていきます。

というわけで今回のレシピ。
「プレーンしらたま」、これに粉砂糖やメープルシロップをかけていただきます。
かけるソースを工夫して「みたらししらたま」、
まぜこむものを工夫して「ココアしらたま」「まっちゃしらたま」、
アレンジレシピ「たなばたのおほしさましらたま」
「ピンクのストロベリーしらたま」。

アレンジレシピが物凄く、ビジュアル的に可愛い!です。
たなばたらしい、ラブリーさですね。
こんな素敵なスイーツを作ってくれる王子様…いずこ…。

全般に七夕なので恋のお話ですが、しらたまのようにさっぱりとした、
それでいて爽やかな仕上がりですね。ルルララはお友達のリカと
夏休みに会えることを重ねているのですが、
そちらの方は恋のエピソードが強すぎて、
ちょっと影が薄い感じは否めません。
リカは次回作で登場するのでしょうか…?
であれば今回はチラ見せですが、そうでないなら、
チャップとマロンだけでも十分だった気もしなくはないですね。

でも、遠く離れていても君のそばに、いいですね。


菜の花の一押しキャラ…チャップ

「たとえ、とおくはなれていても、このピンク色のハートみたいなチャップのこころだけは、いつでもわたしのすぐそばにあるのね。それをわすれないようにしなくっちゃ」(マロン)


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文章・展開 :★★★
簡 潔 性 :★★★
学 術 性 :★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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●「ルルとララのスイートポテト」あんびるやすこ [読書レポート]

「ルルとララのスイートポテト」あんびるやすこ
シリーズ第10作。決めつけないで、挑戦!


ルルとララのスイートポテト (おはなしトントン)

ルルとララのスイートポテト (おはなしトントン)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2009/09/19
  • メディア: 単行本


読了日:2023.3.13
分 類:児童書
ページ:71P
価 格:1000円
発行日:2009年9月発行
シリーズ:ルルとララシリーズ
出版社:岩崎書店
評 定:★★★


●作品データ●
---------------
テーマ : お菓子
語り口 : 三人称(ですます調)
ジャンル: 児童書
対 象 : 小学生向け
雰囲気 : おいしそう、ふんわり
---------------

【100字紹介】
森のお菓子屋さんルルララシリーズ第10作。 森で一番かけっこの速いアライグマのサリーが、森のコンサートで歌を歌うことに。 さつまいもがお菓子になるように、思い込みの自分ではない、新しい自分を見つけてみよう


小学生の女の子ふたりで切り盛りする、森の動物たちのお菓子屋さんのお話の
ルルとララのシリーズ10作目。季節は秋。
物々交換でお菓子を勝っていく動物たちの持ってくるものが、
さつまいもばかりになる時季です。

毎年行われる「森にありがとうコンサート」でここ何年か
歌手を務めた歌自慢のきつねのおじょうさんが今年は不在に。
仕方なく、くじ引きできまった歌い手はなんと…、
運動会で大活躍した、かけっこ一番のアライグマのサリー。
サリーはかけっこが得意であって、歌には自信がありません。
みんなも心配しているのですが…、そんなときにお店にやってくるサリーに、
ルルララが作ってあげたのは、お菓子になれるなんて思いもよらなかった、
サツマイモのスイーツです!

というわけで今回のレシピ。
基本の「スイートポテト」、「スイートポテトのモンブラン・ケーキ」、
「ココアボール」「シナモンスイートポテト」、
そしておともにする「オレンジマーマレードのロシアンティー」と
「シナモンミルクティー」でした。
(番外編でサツマイモのカップケーキもレシピなしで紹介ありです。)

ルルララや森の動物たちにとって、ふかしておやつにするくらいしか
イメージのなかったサツマイモが、立派なスイーツになって登場して、
みんなびっくりするやら、思い込みっていけないんだな~の気持ちで
自分にも思いもよらない何かが出来ちゃうんじゃないか、という前向きな雰囲気が
どんどん湧いてきて…、良かったですね。今回も善行を重ねました、ルルララ。


菜の花の一押しキャラ…シュガーおばさん

「そうね、ララ。できないとおもっていることでも、やってみなくちゃ、わからないですものね」(ルル)


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文章・展開 :★★★
簡 潔 性 :★★★
学 術 性 :★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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●「ルルとララのカスタード・プリン」あんびるやすこ [読書レポート]

「ルルとララのカスタード・プリン」あんびるやすこ
シリーズ第8作。クヌギじいさまのお誕生会


ルルとララのカスタード・プリン (おはなしトントン)

ルルとララのカスタード・プリン (おはなしトントン)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2008/09/26
  • メディア: 単行本


読了日:2023.3.11
分 類:児童書
ページ:71P
価 格:1000円
発行日:2008年10月発行
シリーズ:ルルとララシリーズ
出版社:岩崎書店
評 定:★★★


●作品データ●
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テーマ : お菓子
語り口 : 三人称(ですます調)
ジャンル: 児童書
対 象 : 小学生向け
雰囲気 : おいしそう、ふんわり
---------------

【100字紹介】
森のお菓子屋さんルルララシリーズ第8作。 アイス目当てのお客様が減ってきて、森は秋のごちそうで「食べ放題レストラン」に。 冬に向けてのお別れ会を兼ねた、クヌギじいさまの誕生会で栄養たっぷりのお菓子をどうぞ


小学生の女の子ふたりで切り盛りする、森の動物たちのお菓子屋さんのお話の
ルルとララのシリーズ8作目。季節は秋。
ルルララのお店はアイスをメインで提供してきたので、
秋になってお客さんが減ってきてしまいました。
しかも秋は実りの季節。素敵な森からの贈り物のおかげで
森全体が栄養たっぷりの「食べ放題レストラン」状態。
わざわざルルララのお店に来たくなるような、
おいしいお菓子を提供しないとお客さんは来ないのです。

そこでニッキと話し合って、200歳になるという
クヌギじいさまの誕生会にかこつけて、栄養たっぷりなお菓子を出そうという計画。

クヌギじいさま、と呼ばれるくらいですし、何しろ動物たちが
二足歩行して喋る世界観ですから、当然クヌギじいさまも喋るのだと思っていたら
大間違いでした。あれ、クヌギじいさまはちゃんと植物なんですね。

今回のお菓子はなかなか…苦しいチョイス。
秋の実りのように黄色くて、ドングリみたいに栄養があって、
それからやわらかいお菓子。え、何故黄色い必要が…!?
いや、いいんですけど…。

そして出てきたカスタードプリンですが、さすがオーブンの使えないルルララ、
火を使わずにゼラチンで固めてしまうプリンです。
ので火の通らない生卵を使っているということで、日持ちしません。要注意。

今回のレシピは、「カスタード・プリン」「カラメル・ソース」、
材料置き換えアレンジの「紅茶プリン」「はちみつプリン」、
盛り付けアレンジの「プリンアラモード」「ぷるりんプリン」でした。


今回、シュガーおばさんはルルララのお菓子がどうしていつもおいしいのか、
そのわけが分かった気がしたそうです。
誰かのために…と考えながら作ることは、大事ですね。
作品としてはそれほどひねりもないですが、いつも通りおいしそうでした。


菜の花の一押しキャラ…シュガーおばさん

「なにより、ニッキが元気になるようなおかしがいいわ。だってさっきはすごくさびそうだったもの」(ララ)


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文章・展開 :★★★
簡 潔 性 :★★★
学 術 性 :★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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●「ものがたりの家 」吉田 誠治 [読書レポート]

「ものがたりの家 吉田誠治 美術設定集」吉田 誠治
建物からものがたりが感じられる美術設定集


ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-

ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-

  • 作者: 吉田誠治
  • 出版社/メーカー: パイ インターナショナル
  • 発売日: 2020/07/28
  • メディア: Kindle版

読了日:2023.3.9
分 類:一般書
ページ:127P
価 格:2200円
発行日:2020年7月発行
出版社:バイ インターナショナル
評 定:★★★★★


●作品データ●
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テーマ : 建物の美術設定集
語り口 : メモ
ジャンル: 画集
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 淡々と、でも想像力を刺激する
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【100字紹介】
人気イラストレーターの描く、「ものがたり」を感じられる様々な「家」の美術設定集。 建物を中心としたイラストと、その間取りや細かい設定メモがセットになっていて、 ひとつのイラストから世界が広がる不思議な画集


たまたま紙面でみかけて、面白そうだと思って
公共図書館で借りてみようと予約してみたところ、
1年待ちで手に入りました。人気本!

で、肝心の本体は。
面白かったです。元々、間取り図とかが好きなんですが、
何となく「どう暮らすだろう?」というのを想像するのが楽しいのですよね。
それを、もっと具体的にイラストや設定メモで見せてくれるので、
本当に何かのものがたりが始まりそうな…いや、
ものがたりがずっとそこで続いていそうな、不思議な気持ちになります。
コンセプトが面白いですし、自分以外にも建物からものがたりを想起する人がいた、
しかもそれを同じく楽しみにして読みたい人がいっぱいいる!ということにも
ちょっと「なかまいっぱいだった!」という嬉しい気持ちになりました。

間取りとか見たら、自分ならどう暮らしたいかな、とか
この家に住んでみたい!となるかと思っていたのですが、
この本の中のおうちたちにはちゃんと物語があり、
既に住人たちがいるためか、意外にそういう気持ちではなく、
そっと見守りたいな、この物語を眺めていたいな、と思わされたのも意外でした。

それくらい、リアルに物語が心の中に浸透してきた、ということかもしれません。

しかしこれくらい自由自在に心の中のおうちをイラストにできたら、
楽しいだろうなあ。。。自分でこのスキルを手に入れるには、
他のやりたいことが多すぎて手が回りませんが、
こういう道もあったのだなあとしみじみ感じました。


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文章・展開 :★★★★
簡 潔 性 :★★★★★
学 術 性 :★★★★
独 自 性 :★★★★★
読 後 感 :★★★★
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2023年2月読書メーターまとめ [読書レポート]

2月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:670
ナイス数:10



10分で名著 (講談社現代新書)10分で名著 (講談社現代新書)感想
「FILT」の隔月の連載を書籍化したもの。世界には一生では読み切れないほどの本があるけれど、先人たちが読み継いできた「古典」や世界の在り方を変えた「名著」についてはおさえておいてもいいよね、読み通すのは難しいけれど、プロの「読みどころ」を読み、目的をもって取り組んでみるのはいかが?という本。1章1作品で12作品。各章は冒頭に「基礎知識」のまとめがあり、ある程度の前提知識を押さえてから、その本の専門家にインタビューして読みどころを聞くというもの。一般教養、増えました。幾つかはトライしてみてもいいかも?
読了日:02月20日 著者:古市 憲寿


ルルとララのシャーベット (おはなしトントン)ルルとララのシャーベット (おはなしトントン)感想
森のお菓子屋さんルルララシリーズ第11作。森のパーティーで披露される氷の彫刻の練習から、氷の精が現れます!でもこの氷の精、みんなに嫌われていると思い込み、ルルララのお店をあちこち凍らせて、夏の森を見にひょいっと出て行ってしまう始末。確かに冬の間、ついつい「氷がとければ春が来るのにね」って…言ってしまいそう!そればかり聞かされてたら確かに、うんざりかもですね。あちこち凍ってしまったルルララのお店で、今回作るのはシャーベット。冷たくて暑くて、でもあたたかなこころ。氷の精とまた冬に会うのが楽しみです。
読了日:02月19日 著者:あんびる やすこ


ルルとララのクリスマス (おはなしトントン43)ルルとララのクリスマス (おはなしトントン43)感想
森のお菓子屋さんルルララシリーズ第17作。クリスマスツリーを素敵にしたいルルララですが、オーナメントって、高い…!という現実にぶち当たり、ちょっと落ち込みつつもシュガーおばさんのやさしさとプレゼントのおかげで、心浮き立つクリスマスにぴったりのお菓子を沢山作ります。「ほんとうのおくりもの」に気付いたルルララのクリスマスとクリスマスツリーは、なかなか素敵になりました。いつもと違い、特定のお菓子とそのアレンジではなく、色んなお菓子のクリスマスバージョンを楽しめるスペシャル版ですね。初っ端がいきなり現実的でした。
読了日:02月17日 著者:あんびる やすこ


決定版 戸塚恵子のドールハウス (Handmade Series)決定版 戸塚恵子のドールハウス (Handmade Series)感想
昭和30年~40年代をテーマにした著者のドールハウス作品写真集です。作品の全景だけでなく、クローズアップと解説、個々の構成部品の作成手順も写真付きで紹介。ふんわりと温かい、「なつかしい日本」を堪能できる1冊でした。著者が作り出しているものは、目に見えるもの…和菓子屋さんのお菓子であったり、縁日のチョコバナナであったり、そういうものだけではなく、懐かしい、楽しかった、嬉しかった、そんな、「あの頃」の思い出と雰囲気なのだと感じます。目に見えないものを生み出すちから。凄いですね…。素敵な作品だと思いました。
読了日:02月14日 著者:戸塚 恵子


ルルとララのわくわくクレープ (おはなしトントン21)ルルとララのわくわくクレープ (おはなしトントン21)感想
森のお菓子屋さんルルララシリーズ第12作。
ケンカしたなかよし5ひきのグループを仲直りさせるため、
一番大人しいのねずみのフィオナが注文したのは「なかなおりのお茶会」用のケンカを忘れるようなお菓子。でもケンカしている子たちを連れてこなければいけないので、それぞれの好物を作るだけじゃ足りません。みんなが来たくなるような、わくわくするようなお茶会…それが「わくわくクレープ
」!いいですね、楽しそうですね。小学生女子のお誕生日会のメニューにもいいかもです。ちなみにわたくし、ミルクレープ大好きです。
読了日:02月12日 著者:あんびる やすこ


ルルとララの天使のケーキ (おはなしトントン)ルルとララの天使のケーキ (おはなしトントン)感想
森のお菓子屋さルルララシリーズ第9作。願いを叶える天使の薬を託されたルルとララ。モモンガなのに飛ぶのが苦手なポーラの、大好きなお友達に会いに行くために遠くへ飛びたいという願いを叶えるお菓子を作ります。願いを叶えるオクスリはレモン味なのですね。タイトルからは、今回のお菓子がレアチーズケーキとは分かりませんでしたが、アレンジレシピの「天使のケーキ」は可愛いしオシャレだし、確かに天使っぽい感じでした。ポーラがやるときはやる子で良かったです。アナグマくん、そうか、ここで歌が上手に…ラッキーですね!
読了日:02月08日 著者:あんびる やすこ


ルルとララのチョコレート (おはなしトントン)ルルとララのチョコレート (おはなしトントン)感想
シリーズ第5作。ルルララの世界にはハワイへのバカンスもルーブル美術館もあるけれど、バレンタインは「チョコレート・デイ」なんですね…。ちょっと引っ込み思案だけど優しいミリーが可愛かったです。幸せのおすそ分けを頂いてしまいました。ふんわりとした気持ちで終わるかと思いきや、まさかの最後のオチで思わず吹き出しました。いい…いい味出しすぎだよ、ニッキ。
読了日:02月05日 著者:あんびる やすこ

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●「ルルとララのおしゃれクッキー」あんびるやすこ [読書レポート]

「ルルとララのおしゃれクッキー」あんびるやすこ
シリーズ第2作。クッキーの実がなる木の話


ルルとララのおしゃれクッキー (おはなし・ひろば)

ルルとララのおしゃれクッキー (おはなし・ひろば)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2005/09/28
  • メディア: 単行本


読了日:2023.3.06
分 類:児童書
ページ:71P
価 格:1000円
発行日:2005年10月発行
シリーズ:ルルとララシリーズ
出版社:岩崎書店
評 定:★★★


●作品データ●
---------------
テーマ : お菓子
語り口 : 三人称(ですます調)
ジャンル: 児童書
対 象 : 小学生向け
雰囲気 : おいしそう、やさしい
---------------

【100字紹介】
森のお菓子屋さんルルララシリーズ第2作。 満月の夜にまんなかの木に実るという噂のクッキーの実。 そこで出会ったのは声の小さなリスのミトン。 友達の欲しいミトンのために、ルルララはおしゃれクッキーに挑戦します


小学生の女の子ふたりで切り盛りする、森の動物たちのお菓子屋さんのお話の
ルルとララのシリーズ2作目。結構、最初の方。

森で噂になっているのは、満月の夜にクッキーの実がなるという「まんなかの木」のこと。
興味を持って訪ねてみたルルララですが、クッキーはなりそうにもない普通の木でした。
しかもその木に住む綺麗なリスのミトンが
「ぜったいにクッキーの実はならない」と言い出すのです。
だってそれは…友達の欲しいミトン自身が流した、うその噂だったから…。
でも、満月の夜にクッキーの実がならなければみんなきっとがっかり。

だからルルララは、噂の「おしゃれなクッキー」の実をならせることを決意するのです。

というわけで今回のレシピ。
「型ぬきクッキー」で基本を押さえ、
ドライフルーツやカラーシュガーなどで作る「カラフルクッキー」、
おしゃれさアップの「アイシング」、アレンジした「クッキー人形」「ハートクッキー」、
「おしゃれなクッキーいろいろ」、最後に「ラッピング」。

ラッピング、可愛いです。おしゃれですよね。
第2作なので、あまり難しすぎないクッキーで、
しかも簡単アレンジで可愛さ、おしゃれさを前面に押し出す…、
小学生女子向け作品としてはばっちりですね。

段々大きくなるミトンの声にも、ちょっとどきどきしました。


菜の花の一押しキャラ…シュガーおばさん

「いいえ、あしたになったって、クッキーの実なんて、ぜったいになりません」(ミトン)


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文章・展開 :★★★
簡 潔 性 :★★★
学 術 性 :★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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●「ルルとララのホットケーキ」あんびるやすこ [読書レポート]

「ルルとララのホットケーキ」あんびるやすこ
シリーズ第14作。本当のマナーってなに?


ルルとララのホットケーキ (おはなしトントン27)

ルルとララのホットケーキ (おはなしトントン27)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2011/12/01
  • メディア: 単行本


読了日:2023.2.25
分 類:児童書
ページ:71P
価 格:1000円
発行日:2011年12月発行
シリーズ:ルルとララシリーズ
出版社:岩崎書店
評 定:★★★


●作品データ●
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テーマ : お菓子
語り口 : 三人称(ですます調)
ジャンル: 児童書
対 象 : 小学生向け
雰囲気 : おいしそう、ふんわり
---------------

【100字紹介】
森のお菓子屋さんルルララシリーズ第14作。 森で有名なマナーの先生であるきつねのモリーが、こどもたちに ナイフとフォークのマナーを教えるのにやる気になるようなお菓子を探していました。 本当のマナーってなに?


小学生の女の子ふたりで切り盛りする、森の動物たちのお菓子屋さんのお話の
ルルとララのシリーズ14作目。


今回の舞台は、寒くなりつつある頃。
あたたかいものがおいしくなる季節です。

森で有名なマナーの先生、きつねのモリーは、
名家にお呼ばれして急遽、マナーを勉強している
あなぐまの子どもたち、リラとベスに教えているところ。
一生懸命おじぎやあいさつのことばを覚えたふたりでしたが、
どうしてもナイフとフォークの使い方がうまく覚えられず、
もっとおいしいものでやる気を出してもらいたいのだけれど…、
というお話をルルとララにしていきます。

というわけで、今回のレシピはホットケーキ。
ホットプレートで焼く「プレーンホットケーキ」に始まり、
メープルシロップやチョコソースをかける「シンプルホットケーキ」、
バターにはちみつとシリアルスナックを混ぜて作る「ハニーコームバター」、
そしてアレンジの「ココアホットケーキ」「いちごのホットケーキ」
「ブルーベリーホットケーキ」、ラストは冷めたり形の悪いホットケーキも
素敵に変身させる「トライフル」です。


マナーの先生、ということで何となく、きつねのモリー先生は
きっと堅苦しい、型ばかり気にする方なんだろう、と
勝手に先入観を持ってしまいましたが、物凄い良い方でした。
本当のマナーって、素敵です。
前半でモリーは「ほんとうのマナー」について、端的に説明しますが、
これについてみんな腑に落ちない様子。
そして物語の最後で、同じ言葉を思い出して、はっとするのです。
あ、そういうことか!と。実感って、大事ですね。

「ほんとうのマナー」、忘れないでいたいものです。



菜の花の一押しキャラ…シュガーおばさん

「そこにいる人がみんなしあわせなきもちになれること。それが『ほんとうのマナー』なの。」(モリー)


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文章・展開 :★★★
簡 潔 性 :★★★
学 術 性 :★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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●「10分で名著」古市憲寿 [読書レポート]

「10分で名著」古市憲寿
たった10分で、世界の名著の勘所を読もう


10分で名著 (講談社現代新書)

10分で名著 (講談社現代新書)

  • 作者: 古市 憲寿
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/05/18
  • メディア: 新書



10分で名著 (講談社現代新書)

10分で名著 (講談社現代新書)

  • 作者: 古市憲寿
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/05/18
  • メディア: Kindle版

読了日:2023.2.20
分 類:一般書
ページ:237P
価 格:900円
発行日:2022年5月発行
シリーズ:講談社現代新書 2659
出版社:講談社
評 定:★★★★


●作品データ●
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テーマ : 読書案内
語り口 : 解説+対談
ジャンル: 一般書
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 難しすぎず、易しすぎず
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【100字紹介】
世界には一生では読み切れないほどの本がある。 先人たちが読み継いできた「古典」や世界の在り方を変えた「名著」、 読み通すのは難しいけれど、プロの「読みどころ」を読み、目的をもって取り組んでみるのはいかが?

どこかで聞いたようなタイトル…。
著者はアカデミックの社会学者で、
本書は「FILT」の隔月の連載を書籍化したもの。

タイトルくらいは学校で習うが実際に読み通すのが難しそうな本を中心に
「厳選した」12の「名著」や「古典」について、その道のプロに読み方、
読みどころを聞いた「名著の歩き方」。

各章に1作品を取り上げ、冒頭に「基礎知識」、その後に対談という構成です。
基礎知識と対談の構成は斎藤哲也氏。
…うん?あれ、何故そちらが著者名に入っていないのでしょう…?

さて、紹介される作品は以下の通り。

『神曲』 原基晶
『源氏物語』大塚ひかり
『失われた時を求めて』高遠弘美
「相対性理論」 竹内薫
『社会契約論』東浩紀
『ツァラトゥストラ』竹田青嗣
『わが闘争』佐藤卓己
『ペスト』佐々木匠
『古事記』三浦佑之
『風と共に去りぬ』鴻巣友季子
『国富論』野原慎司
『資本論』的場昭弘

なお、Amazonの本書の紹介では上記にそれぞれ一言ずつ、
内容をまとめた紹介がついているので、内容把握におすすめですね。

菜の花としてはこの中で全部読んだ!というものは…うーん、子供向けの
翻訳バージョンであれば、「源氏物語」「古事記」あたりは読みましたが、
海外作品は殆ど通読はしていません。解説書をかじった程度だと…、
「社会契約論」「国富論」「資本論」あたりは、経済学の入門書系で
ちょこっと内容に触れているかな?程度でしょうか。
「失われた時を求めて」に至っては、タイトルも存じ上げず。
というか、「国富論」と「相対性理論」を両方通読している人って、
読書家ってレベルではない気がするのですが…。


若干、偏っている気もしなくてはないですが、
確かにこれらをすべて通読している人はいないだろう、うん、いないだろう、
とは思います!(自分が読んでないからというだけでなく…)

これらについての読書ガイドを示されてみると…ちょっとだけ、
読んでみてもいいかな…?と思ったり思わなかったり…いや、全部はいいかな、
でも1冊でも2冊でも、ちょっとだけ、読んでみてもいいかも?とは思います!
また…いつか。。。とりあえず、一般教養は強化された気がします。
ありがとうございます!


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文章・展開 :★★★★
簡 潔 性 :★★★★
学 術 性 :★★★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★★
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