●「No. 6 #2」あさのあつこ [読書レポート]
「No. 6 #2」あさのあつこ
未来都市<No.6>の外は別世界だった…
読了日:2013.10.20
分 類:中編
ページ:212P
価 格:476円
発行日:2004年2月講談社、2007年2月発行
出版社:講談社(講談社文庫)
評 定:★★★+
●作品データ●
----------------------------
主人公 : 紫苑
語り口 : 3人称
ジャンル: 近未来SFライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 起承転結の「承」
結 末 : 次巻に続く
カバーデザイン: 岩郷重力+WONDER WORKZ。
デザイン : 菊地 信義
---------------------------
【100字紹介】
人工の理想都市<No.6>から逃亡した紫苑は、
捨てられた西ブロックでネズミと新しい生活を始めた。
少しずつ学び、前へ進んでいく紫苑は母からのメモで、
西ブロックにありつつNo.6と繋がりのある人物と出会う
近未来SF第2巻。捨てられた「西ブロック」での新たな日々。
誰も守ってくれない、自分を守るのは自分。
取り繕われた理想都市<No.6>の中でも特別保護され、
ぬるま湯で育ってきた「お坊ちゃん」育ちの紫苑にとっては、
西ブロックでは子どもにとっても当たり前のことすら当たり前ではなく、
何もかもが驚きの連続。
そして、イヌカシや力河など、これからも関わっていく人物達も登場します。
No.6の内部でも、母・火藍と沙布の再会と衝撃的な別れがあり、
あやしげな白衣の男もちらりと出てきたりして、
「大きなお話」の準備が着々と整ってきた感じの「承」にあたるエピソードでした。
紫苑とネズミはまったく違う環境で育っていて、
西ブロックでの暮らしについては、ネズミの方が断然上なのですが、
紫苑が防戦一方ではなく、きちんとネズミの言うことも受け止めた上で、
それでもネズミにやられっぱなしではない、というところが凄いです。
まだまだ「対等」ではないかもしれないけれど、
「対等」であらんとする紫苑の心意気のようなものが、
男の子なのだなあ、という感じ。
紫苑が女の子だったら、こうはならなかったのかもしれない、と。
いや、まあ女の子だったらネズミもこんな扱いできないかもしれませんが。
でも物理的な性差ではなくて、何と言うか、精神構造の性差、
とでも言いましょうか、そういうものが反映されているなあと思うのです。
「男の子みたいな女の子」とか「女の子みたいな男の子」を
お話の中で登場させるのは簡単ですけれども、
外見や言動だけではなく、もっと精神的な、思考のクセのようなもので、
描きわけをするのは、著者も男女どちらかであるはずですから、
なかなか難しいものだと思うのですけれども、
やはり母強し、というところでしょうか。
母親というのはわが子の成長を誰よりも深く見守るものですから
息子を育てた母親は、自分の性とは異なる存在の成長を
時系列でしっかり体験できるという、なかなか貴重な存在かもしれません。
まあでもそれは「バッテリー」で一番活かされているなあ、と感じましたけれども。
それにしてもNo.6の暗部があちこちで垣間見えますが、
さて、これからそれがどう白日の下に晒されていくのか?
楽しみです。
---------------------------------
文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★+
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★★
---------------------------------
菜の花の一押しキャラ…ネズミ
「なのに、あんたは我慢してた。 抗わず、心にもない誓いの言葉を毎朝唱えて、平気な顔をしていた。
紫苑、言葉ってのはな、あんなみたいに軽々しく使っちゃいけないんだよ。
押し付けられて平気でいては、だめなんだ。
あんたは、それを知らない。だから、信用しない」 (ネズミ)
未来都市<No.6>の外は別世界だった…
読了日:2013.10.20
分 類:中編
ページ:212P
価 格:476円
発行日:2004年2月講談社、2007年2月発行
出版社:講談社(講談社文庫)
評 定:★★★+
●作品データ●
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主人公 : 紫苑
語り口 : 3人称
ジャンル: 近未来SFライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 起承転結の「承」
結 末 : 次巻に続く
カバーデザイン: 岩郷重力+WONDER WORKZ。
デザイン : 菊地 信義
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【100字紹介】
人工の理想都市<No.6>から逃亡した紫苑は、
捨てられた西ブロックでネズミと新しい生活を始めた。
少しずつ学び、前へ進んでいく紫苑は母からのメモで、
西ブロックにありつつNo.6と繋がりのある人物と出会う
近未来SF第2巻。捨てられた「西ブロック」での新たな日々。
誰も守ってくれない、自分を守るのは自分。
取り繕われた理想都市<No.6>の中でも特別保護され、
ぬるま湯で育ってきた「お坊ちゃん」育ちの紫苑にとっては、
西ブロックでは子どもにとっても当たり前のことすら当たり前ではなく、
何もかもが驚きの連続。
そして、イヌカシや力河など、これからも関わっていく人物達も登場します。
No.6の内部でも、母・火藍と沙布の再会と衝撃的な別れがあり、
あやしげな白衣の男もちらりと出てきたりして、
「大きなお話」の準備が着々と整ってきた感じの「承」にあたるエピソードでした。
紫苑とネズミはまったく違う環境で育っていて、
西ブロックでの暮らしについては、ネズミの方が断然上なのですが、
紫苑が防戦一方ではなく、きちんとネズミの言うことも受け止めた上で、
それでもネズミにやられっぱなしではない、というところが凄いです。
まだまだ「対等」ではないかもしれないけれど、
「対等」であらんとする紫苑の心意気のようなものが、
男の子なのだなあ、という感じ。
紫苑が女の子だったら、こうはならなかったのかもしれない、と。
いや、まあ女の子だったらネズミもこんな扱いできないかもしれませんが。
でも物理的な性差ではなくて、何と言うか、精神構造の性差、
とでも言いましょうか、そういうものが反映されているなあと思うのです。
「男の子みたいな女の子」とか「女の子みたいな男の子」を
お話の中で登場させるのは簡単ですけれども、
外見や言動だけではなく、もっと精神的な、思考のクセのようなもので、
描きわけをするのは、著者も男女どちらかであるはずですから、
なかなか難しいものだと思うのですけれども、
やはり母強し、というところでしょうか。
母親というのはわが子の成長を誰よりも深く見守るものですから
息子を育てた母親は、自分の性とは異なる存在の成長を
時系列でしっかり体験できるという、なかなか貴重な存在かもしれません。
まあでもそれは「バッテリー」で一番活かされているなあ、と感じましたけれども。
それにしてもNo.6の暗部があちこちで垣間見えますが、
さて、これからそれがどう白日の下に晒されていくのか?
楽しみです。
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文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★+
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…ネズミ
「なのに、あんたは我慢してた。 抗わず、心にもない誓いの言葉を毎朝唱えて、平気な顔をしていた。
紫苑、言葉ってのはな、あんなみたいに軽々しく使っちゃいけないんだよ。
押し付けられて平気でいては、だめなんだ。
あんたは、それを知らない。だから、信用しない」 (ネズミ)
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