●「トコトンやさしい風力発電の本」牛山 泉 [読書レポート]
「トコトンやさしい風力発電の本 今日からモノ知りシリーズ」牛山 泉
風力発電の歴史、しくみ、現状を一般向けに
読了日：2011.07.18
分 類：一般書
ページ：159P
価 格：1400円
発行日：2010年1月発行
出版社：日刊工業新聞社（B＆Tブックス）
評 定：★★★＋
●作品データ●
---------------
テーマ ： 風力発電
語り口 ： 教科書調
ジャンル ： 一般書
対 象 ： 一般向け
雰囲気 ： やさしい
表紙イラスト ： 黒崎 玄
本文イラスト ： 輪島 正裕
ブックデザイン ： 黒田 陽子
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【１００字紹介】
各地に無尽蔵に遍在し、エネルギー源として豊富で安価な風を使う風力発電は今、
世界中で急速に導入が進んでいます。そのしくみや現状、将来展望を、
一般向けに分かりやすくとりまとめた、易しく読める「モノ知り本」
脱原発に揺れる昨今ですが、そもそも温室効果ガス削減、ということで
いわゆる「再生可能エネルギー」に大きな光が当たってきていました。
風力発電はそれらの新エネルギーの中でも、
エネルギー収支比（そのエネルギー機器の製造から設置までに投入されたエネルギーと、
機器が寿命を迎えるまでに発生するエネルギーの比）が高く、
エネルギーペイバックタイム（そのエネルギー機器が、どれくらいの期間で元が取れるか）が短い、
優秀な発電方法のひとつです。
しかも使うエネルギーは世界中にある「風」ですから、
エネルギー源を輸入する必要はないですし、枯渇してしまう心配もありません。
もちろん、土地ごとに吹く風の強弱はありますし、
日本のように台風のような破壊的な風に見舞われてしまう土地もありますが、
それを考慮しても、かなりの有望株エネルギー源といえるでしょう。
そんな素敵な風力発電について、初心者にも分かりやすく、
全般の知識をえいや！とつめこんでくれるのが本書。
大好きです、「今日からモノ知り」シリーズ。
見開き２ページで１セットの、よくある「易しい本」の形式です。
風力発電といえば、風車。
風車といっても、オランダの干拓地あたりでチューリップを従えて回っている、
茶色い建物風のだけを思い浮かべてしまうと、ちょっと違います。
あれは発電ではなく、小麦粉を挽いたり、水をくみ出したりしているものですが、
必ずしも発電に向いているとはいえません。
いやー、こんなに風車にも種類があるのですね。
ちょっとびっくりしてしまいました。
というわけで、風車の説明から、発電部分の説明などのしくみの説明から、
風自体の現状や、風力発電機器のメーカーについて、どうやって建設するのか、
台風のときはどうするの？というような様々な疑問…、、、
とりあえず、まとめて全部、この本を読めば風力発電についての
基礎知識は得られるのではないかと思われます。
もちろん、ただ「凄いぞ凄いぞ」と言って、何でもかんでも風力発電、
全部風力発電にしちゃえ、とか、そんな無茶は言いません。
全世界では2008年時点で、121GW、大型原子力発電所120基分の風力発電が稼動していて、
欧米での新設電源の40%以上が風力発電、風力発電先進国のデンマークでは
全電力の20%を風力発電が占めている…ということが紹介される一方、
風はきまぐれ、風況により発電量が変わるため、
通常の電力網に取り込むには工夫が必要であることが述べられます。
デンマークは何故、20%という高率の風力発電を行なえるのかというと、
「同国の送電網が北欧諸国のノルデルという強力な電力網と繋がっており、
水力発電の負荷調整率に依存しているから」と説明します。
つまり、風が吹いていてがんがん風力発電が動いているときは、
水力発電所の水の流れを控えめに、風が弱まって風力発電からの電力が減ったら
水力発電が頑張る、という調整をしているのですね。
北欧諸国は水力発電が盛んで、水力は風力と違って人間が量の調節ができます。
でもこのためには、それぞれの発電量と電圧を常に監視し、
遠隔で調節できるしくみが必要になります。
これが今流行の「スマートグリッド」というやつでしょうか。
いやー…電力の世界、なかなか奥が深くて興味深いです。
また「今日からモノ知りシリーズ」にのせられてしまったー！という
嬉しい読書でありました。もっとこのシリーズ、読んでみたくなりましたよ。
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文章・展開 ：★★★
簡 潔 性 ：★★★★
学 術 性 ：★★★★
独 自 性 ：★★★★
読 後 感 ：★★★
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風力発電の歴史、しくみ、現状を一般向けに
トコトンやさしい風力発電の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
- 作者: 牛山 泉
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2010/01
- メディア: 単行本
読了日：2011.07.18
分 類：一般書
ページ：159P
価 格：1400円
発行日：2010年1月発行
出版社：日刊工業新聞社（B＆Tブックス）
評 定：★★★＋
●作品データ●
---------------
テーマ ： 風力発電
語り口 ： 教科書調
ジャンル ： 一般書
対 象 ： 一般向け
雰囲気 ： やさしい
表紙イラスト ： 黒崎 玄
本文イラスト ： 輪島 正裕
ブックデザイン ： 黒田 陽子
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【１００字紹介】
各地に無尽蔵に遍在し、エネルギー源として豊富で安価な風を使う風力発電は今、
世界中で急速に導入が進んでいます。そのしくみや現状、将来展望を、
一般向けに分かりやすくとりまとめた、易しく読める「モノ知り本」
脱原発に揺れる昨今ですが、そもそも温室効果ガス削減、ということで
いわゆる「再生可能エネルギー」に大きな光が当たってきていました。
風力発電はそれらの新エネルギーの中でも、
エネルギー収支比（そのエネルギー機器の製造から設置までに投入されたエネルギーと、
機器が寿命を迎えるまでに発生するエネルギーの比）が高く、
エネルギーペイバックタイム（そのエネルギー機器が、どれくらいの期間で元が取れるか）が短い、
優秀な発電方法のひとつです。
しかも使うエネルギーは世界中にある「風」ですから、
エネルギー源を輸入する必要はないですし、枯渇してしまう心配もありません。
もちろん、土地ごとに吹く風の強弱はありますし、
日本のように台風のような破壊的な風に見舞われてしまう土地もありますが、
それを考慮しても、かなりの有望株エネルギー源といえるでしょう。
そんな素敵な風力発電について、初心者にも分かりやすく、
全般の知識をえいや！とつめこんでくれるのが本書。
大好きです、「今日からモノ知り」シリーズ。
見開き２ページで１セットの、よくある「易しい本」の形式です。
風力発電といえば、風車。
風車といっても、オランダの干拓地あたりでチューリップを従えて回っている、
茶色い建物風のだけを思い浮かべてしまうと、ちょっと違います。
あれは発電ではなく、小麦粉を挽いたり、水をくみ出したりしているものですが、
必ずしも発電に向いているとはいえません。
いやー、こんなに風車にも種類があるのですね。
ちょっとびっくりしてしまいました。
というわけで、風車の説明から、発電部分の説明などのしくみの説明から、
風自体の現状や、風力発電機器のメーカーについて、どうやって建設するのか、
台風のときはどうするの？というような様々な疑問…、、、
とりあえず、まとめて全部、この本を読めば風力発電についての
基礎知識は得られるのではないかと思われます。
もちろん、ただ「凄いぞ凄いぞ」と言って、何でもかんでも風力発電、
全部風力発電にしちゃえ、とか、そんな無茶は言いません。
全世界では2008年時点で、121GW、大型原子力発電所120基分の風力発電が稼動していて、
欧米での新設電源の40%以上が風力発電、風力発電先進国のデンマークでは
全電力の20%を風力発電が占めている…ということが紹介される一方、
風はきまぐれ、風況により発電量が変わるため、
通常の電力網に取り込むには工夫が必要であることが述べられます。
デンマークは何故、20%という高率の風力発電を行なえるのかというと、
「同国の送電網が北欧諸国のノルデルという強力な電力網と繋がっており、
水力発電の負荷調整率に依存しているから」と説明します。
つまり、風が吹いていてがんがん風力発電が動いているときは、
水力発電所の水の流れを控えめに、風が弱まって風力発電からの電力が減ったら
水力発電が頑張る、という調整をしているのですね。
北欧諸国は水力発電が盛んで、水力は風力と違って人間が量の調節ができます。
でもこのためには、それぞれの発電量と電圧を常に監視し、
遠隔で調節できるしくみが必要になります。
これが今流行の「スマートグリッド」というやつでしょうか。
いやー…電力の世界、なかなか奥が深くて興味深いです。
また「今日からモノ知りシリーズ」にのせられてしまったー！という
嬉しい読書でありました。もっとこのシリーズ、読んでみたくなりましたよ。
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文章・展開 ：★★★
簡 潔 性 ：★★★★
学 術 性 ：★★★★
独 自 性 ：★★★★
読 後 感 ：★★★
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