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●「星降り山荘の殺人」倉知 淳 [読書レポート]

「星降り山荘の殺人」倉知 淳
あくまでフェアプレイで臨む、フーダニット


星降り山荘の殺人 (講談社ノベルス)

星降り山荘の殺人 (講談社ノベルス)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/09
  • メディア: 新書



読了日:2014.4.23
分 類:長編
ページ:343P
価 格:880円
発行日:1996年9月発行
出版社:講談社(講談社ノベルス)
評 定:★★★+


●作品データ●
----------------------------
主人公 : 杉下 和夫
語り口 : 3人称的(視点固定)
ジャンル : ミステリ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : パズルミステリ的
ブックデザイン : 熊谷 博人
カバーデザイン : 辰巳 四郎
本文図版 : 小石沢 昌宏
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【100字紹介】
雪に閉ざされた山荘での殺人。
 クローズド・サークル系フーダニット開幕。
 親切ガイドのように随所に挿入される
 著者からのアドバイスは、
 あくまでフェアプレイの精神で行なわれる。
 王道系展開の中、読者も推理に挑戦。



吹雪の山荘でのクローズド・サークル系フーダニットです。
登場人物も少なめ。
再開発を進める不動産会社社長・岩岸豪造。
その部下・財野政高。
人気作家・草吹あかね。
その秘書・早沢麻子。
UFO研究家・嵯峨島一輝。
女子大生2人組・小平ユミと大日向美樹子。
スターウォッチャー・星園詩郎。
そのお付きの人である主人公・杉下和夫。

会社でトラブルを起こして、
左遷された先は、キザな二枚目キャラで売っている、
星園詩郎のお付きの人だった!という和夫。
最初のおしごとは、彼にくっついて
人里離れた山荘での一泊旅行についていくこと。
星の降る里とでも宣伝して寂れたコテージ村を
再開発しようとする不動産会社社長は、
宣伝塔として、若い女性に支持される作家や、
スターウォッチャー、そしてUFO研究家を招きます。
そしてその夜…殺人が起こってしまうのです。
折悪しく吹雪がやってきて、クローズド・サークルに。
そこで行なわれるのは、ごく王道の殺人事件。
この本で特長的なのは、随所に注意事項的な
著者によるガイドが挿入されている点。
たとえば冒頭。

まず本編の主人公が登場する。
主人公は語り手でありいわばワトソン役。
つまり全ての情報を読者と共有する立場であり
事件の犯人では有り得ない。


こんな感じ。
ミステリの読み方の教科書的。

そして終盤、展開される星園詩郎の
華麗な推理の向こうにあるものは…?
しかし星園…一体、何だったのか…?


「読み返したくなる」と
最初に聞いてしまっていたので…
叙述トリックの一種かと思っていたせいで
結末的には想定範囲内でした。
ストーリー的には、良くも悪くも王道。
もう少しひねっても良いかも。
この著者の作品は2作目の拝読ですが、
その作品と同様にやはり、
論理に特化した作品という感じです。
こういうところに若干の、著者の自信のなさのようなものを
感じる気がします。ちょっと言葉が多い気がします。
あと、舞台づくりが好き、という印象も変わらず。

でも久々に、王道読みました。
やっぱり王道は懐かしい気持ちを呼び起こしますね。
幕切れのあっさり加減が残念な気はしましたが、
前税に懐かしく読めて楽しかったです。


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文章・描写 :★★★
展開・結末 :★★★
キャラクタ :★★★+
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…早沢 麻子

「威勢がいいのはいいことだけどね、冷静に行こう、青少年」(草吹あかね)
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