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●「No. 6 #3」あさのあつこ [読書レポート]

「No. 6 #3」あさのあつこ
生き抜くにも愛するにも、必要なのは覚悟…


NO.6 [ナンバーシックス] ♯3 (講談社文庫)

NO.6 [ナンバーシックス] ♯3 (講談社文庫)

  • 作者: あさの あつこ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/08/11
  • メディア: 文庫


読了日:2013.12.14
分 類:中編
ページ:211P
価 格:476円
発行日:2004年10月講談社、2007年8月発行
出版社:講談社(講談社文庫)
評 定:★★★★


●作品データ●
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主人公 : 紫苑
語り口 : 3人称
ジャンル: 近未来SFライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 起承転結の「承」
結 末 : 次巻に続く
カバーデザイン: 岩郷重力+WONDER WORKZ。
デザイン : 菊地 信義
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【100字紹介】
西ブロックで日々営まれる生活で、残酷なまでの現実と向き合うことになった紫苑。
一方で人工の理想都市<No.6>で異変が。
深く関わりあうほどに重くなる枷を感じつつ、
ネズミは助けを求めるメモを前に決断をする



近未来SF第3巻。捨てられた「西ブロック」での日々は、
更なる残酷な現実を紫苑に突きつけます。
食べるために、生きて抜くためにしなくてはならないこと。
悩みながら、それでも芯にあるまっすぐでひたむきな部分は
決して変化させることのない紫苑。
その姿に、むしろネズミやイヌカシたちも影響を受けることに。
No.6の内部では、母・火藍の葛藤と、奇妙な人物との出会いがあり、
沙布の身には切迫した何かが起こっていて…。

前巻が「承」の物語だったので、
今回は「転」がきて一気に展開するのかと思いきや、
着々と準備が調えられていくというか、
牙やツメを隠した猛禽類がじっと獲物を見据えつつ、地面に伏せているような…、
2巻に引き続いて「承」にあたるエピソードでした。
ただし、弓が引き絞られていくような、高まる緊張感がより強いお話。

それにしても、ネズミもイヌカシも、
この歳で滅茶苦茶戦闘能力が高いのですが、
やはり生きるか死ぬかの瀬戸際で生き続けていると、
成長が早まるのでしょうか…。

一方で、温室培養されていた紫苑の方は、
どんな逆境でも、するりと人の懐に飛び込んでしまうという、
必殺の奥義を(無意識に)繰り出し、
気付いたら沙布奪還グループを自分のために結成させてしまうという
恐ろしいまでの人たらし振りを発揮。
でも、ただの「いいやつ」でも「超人」でもなく、
自分でも悩み、迷い、戸惑うところがとても深くて素敵です。
こうやって、完璧ではない人と人がお互いに影響を与え合うことで、
人間関係は成り立っている、というのがよく分かるのです。

そして今回は凄いところで終わりました。
え、ここで!?
週刊連載の少年漫画じゃないんだから!と、
思わず言いたくなった人、多数と見ました、ええ。
これは気になりますよね。
次巻、乞うご期待!です。間違いなく。


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文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★+
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★★★
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菜の花の一押しキャラ…ネズミ

「だけど、ネズミ、ぼくは本当に後悔していない。
 あの夜、自分の感情に背かないでよかったと、本気で思っている」(紫苑)


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