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●「相田家のグッドバイ」森 博嗣 [読書レポート]

「相田家のグッドバイ」森 博嗣
父と母と息子と娘。相田家の、歴史と終焉。

相田家のグッドバイ

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/02/24
  • メディア: 単行本

読了日:2012.09.09
分 類:エッセイ
ページ:223P
価 格:1500円
発行日:2012年2月発行
出版社:幻冬舎
評 定:★★★★+


●作品データ●
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主人公 : 相田 紀彦ほか
語り口 : 三人称
ジャンル: 小説一般
対 象 : 一般向け
雰囲気 : リアルな
ブックデザイン : 鈴木成一デザイン室
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【100字紹介】
論理的で静かな人格の父・秋雄。異常なほどの収納癖があり、
絶対に物を捨てない母・紗江子。
かけおち後すぐに幼い長男を亡くした若い夫婦は、
次男・紀彦と娘を得る。
相田家の歴史と、そして終焉を描く、自伝的小説。



そのまま、家族の歴史です。
タイトル通り「相田家」の歴史で、
そして「相田家」のグッドバイ、終わりまで。

ちょっと変わった家族ですが、モデルは著者・森氏自身の家族でしょうね。
エッセイでの話と大抵、合っていますので。
そして、とてもリアリティがあります。
何だろう、ちょっと変わっている割には、凄く自然な感じ。
変わっているのに、普通に存在していそうな気がしてきます。
描き方の巧さもあるのかもしれませんが、
しっかりした実在のモデルがあるから、と言われた方がしっくりきます。

小説ですが、大きな起伏のある物語ではありません。
そういえば、同著者の比較的最近の作品には、そういうものが多いような。
S&Mシリーズのようなミステリなどではそれなりに起伏、ありますが、
「喜嶋先生」とか「ヴォイド・シェイパ」とか。
「スカイ・クロラシリーズ」も静けさという意味では似ている気がします。
そういう傾向の作品が元々の作風、なのかも。


それにしても、この作品は読んでいると、
思わず自分のことを振り返ってしまいます。
相田家の両親を見ていると、自分と自分の両親の将来を考えさせられるというか。
祖父母のこととも重ねてみたりして。
どちらかというと、考えないようにしている将来の、
実際のところを突きつけられたような。

とても現実的で、ある意味夢がなくて、淡々としていて、
でもとても温かい、気がしました。
特殊なことがあるわけでもないけれど(いや、十分変わっているのでしょうが)、
十分読ませるし、読んでよかった作品でした。


紀彦は、これが人の能力であり、人間の凄さというものだ、と感じた。
ものごとを解決するためには、道具を持っているだけでは駄目だ。
あらかじめ道理を理解していなければならない。その理解がなければ、
自分が間違っていることにさえ気づかない、と知ったのである。(地の文)


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文章・展開 :★★★★
簡 潔 性 :★★★★
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★★★
読 後 感 :★★★★
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