●「お伽話のように」 高里 椎奈 [読書レポート]
「お伽話のように ドルチェ・ヴィスタ2」 高里 椎奈
目に見える世界なのに不思議なファンタジー
読了日:2006.03.10
分 類:連作短編
ページ:248P
値 段:780円
発行日:2003年3月発行
出版社:講談社ノベルス
評 定:★★★★★
●作品データ●
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主人公 :-
語り口 :3人称
ジャンル:現代ファンタジー
対 象 :一般向け
雰囲気 :幻想、叙述ミステリ的
ブックデザイン:熊谷 博人
カバーデザイン:斉藤 昭(Veia)
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【100字紹介】
ユートピアは、ただ全力を振り絞って歩き続けるうちに、
ふと刹那、立ち現れ、通り過ぎなければならない
オアシスのようなもの。目に見えるものだけを描いているのに
不思議がいっぱいの高里流現代ファンタジー短編集
講談社ノベルスの記念企画「密室」で出された
「それでも君が」の続編にあたるドルチェ・ヴィスタ2。
連作短編集で、それぞれの話は独立。
高里椎奈作品では、シリーズ主人公が必ずしも
視点中心にならないのが普通ですが、本作も同様。
それぞれの中心視点がすべて異なります。
前作のあの世界観が好きな人は、読むと驚くかもな作品。
一体どこが続編なのか、皆目見当がつかないのです。
菜の花も最初、頭の中に「?????」が飛び交いました。
でも、読了してみると、何となく分かります。
骨組みというか、ストーリーの雰囲気というか、
そういう直接的でない部分が確かに、似通った部分があると。
まあ、それだけではないのですが、
伏せておいた方が愉しいので、それについては言及せず。
それぞれの話でミステリ的サプライズがありますが、
まあ、読んでいれば予想のつくものが多いです。
むしろそちらに気をとらせておいて、
無防備になっているところに、もっと読ませたいものを
読者の中に滑り込ませてしまう感じ。マジシャンか!
一応、現実的なのに、雰囲気としては間違いなくファンタジー。
「薬屋さん」シリーズがオカルトで「目に見えないものを書く」
のと対照的に「目に見えるものを書いた」と
あとがきにありましたが、目に見えるもの、
見えないもののどちらを書いても、ファンタジーはファンタジー
なのだなあと思った次第。
ちなみに3部作で、あと1作で完結予定とのこと。
●菜の花の独断と偏見による評定●
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文章・描写 :★★★★★
展開・結末 :★★★★★
キャラクタ :★★★+★
独 自 性 :★★★★★
読 後 感 :★★★★★
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菜の花の一押しキャラ…波子
「ジャファちゃんは、大きくなったら何になりたい?」
「ベンガルトラ」
(萩月&ジャファ)
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