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●「双樹に赤 鴉の暗」高里椎奈

「双樹に赤 鴉の暗 薬屋探偵妖綺談」 高里 椎奈
時は移ろい、繰り返される事件と真実を描く

双樹に赤 鴉の暗―薬屋探偵妖綺談

双樹に赤 鴉の暗―薬屋探偵妖綺談

  • 作者: 高里 椎奈
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/10
  • メディア: 新書


読了日:2006.02.26
分 類:長編
ページ:288P
値 段:820円
発行日:2002年10月発行
出版社:講談社ノベルス
評 定:★★★+

●作品データ●
----------------------------
主人公 :唐沢 善哉 他
語り口 :3人称
ジャンル:ミステリ風オカルトノベル
対 象 :ヤングアダルト寄り
雰囲気 :ライトノベル、心情もの
結 末 :ややハッピーエンド
ブックデザイン:熊谷 博人
カバーイラスト:斉藤 昭 (Veia)
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【100字紹介】
サラリーマンの唐沢は、悪戯好きの子鬼カブとアルに
からかわれながらもその同居に幸せを感じ始める。
一方、上流坂署刑事・高遠は、窃盗犯の自殺事件の
報告書を纏めるうち蟠りを覚え…。
繰り返される事件と不変の真実。

高里椎奈の「薬屋探偵」シリーズの第9作です。

前作のレポートで時間設定の話を書きましたが、
どうやら本作でも時代が分かったようです。
しかし複雑でして…、これはもう一度、
じっくりシリーズに目を通してみないといけないかも。
…と思う理由は、まあ、本作を読んでみて頂かないと。
軽くネタばれかもしれませんので。

本作はいわゆる、叙述ミステリの要素をもった作品です。
交錯するいくつかの物語…。
高里椎奈の「薬屋」シリーズではおなじみの形式です。
今回は薬屋3人の組、
うだつの上がらないサラリーマン唐沢と子鬼の組、
それから刑事の高遠と新人・来田川の組。
それぞれの物語が一見独立、少しリンクして…。

さて、あなたはこの真相が分かるでしょうか?
複雑な層構造をもったこの作品、読後も
「あれ?」と思わずもう一度
前のページに戻りたくなること、受け合いです。

基本は、人の心の真実を映す心情もの、でしょうか。
うだつが上がらず、社内でも疎んじられている唐沢の描写は
「大人のいじめ」をうまく描写し、更に唐沢自身の
心の動きも自然にまとめていて、共感を呼びます。
逆に優秀であろうとし、真面目すぎて疎んじられる来田川の描写も
己の正義・考え方だけに凝り固まった彼の心理を、
分かりやすく表現し、それが反発しながらも
心がほぐされていく過程を描いています。

シリーズ初期に比べ、格段に向上した著者の心理描写が
十分に楽しめる1冊です。


●菜の花の独断と偏見による評定●
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文章・描写 :★★★+
展開・結末 :★★★★★
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★★★
読 後 感 :★★+★★
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菜の花の一押しキャラ…御 葉山

「未練は未来に託せるが、後悔は過去に縛られるだけだ」(高遠 三次)


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