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●「楽園(上)」宮部 みゆき [読書レポート]

「楽園(上)」宮部 みゆき
「模倣犯」から9年。親と子の、事件の物語


楽園〈上〉

楽園〈上〉

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本


読了日:2013.10.01
分 類:長編
ページ:413P
価 格:1619円
発行日:2007年8月発行
出版社:文藝春秋
評 定:★★★+


●作品データ●
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主人公 : 前畑 滋子
語り口 : 3人称
ジャンル: ミステリ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : じっくり
結 末 : 下巻に続く
装 丁 : 鈴木 正道
カバー写真 : 小山 泰介
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【100字紹介】
「模倣犯」から9年。事件ものからは手を引き、
フリーペーパーのライターをしている前畑滋子の元に、
交通事故死した少年の母親が訪ねてくる。
自宅の床下で16年間、眠り続けた少女の死体を「透視」した絵を携えて。



「模倣犯」から9年経った世界で、事件の渦中にあった
前畑滋子が再び登場。事件のショックから立ち直れず、
事件ものには手を出さないままのフリーライターです。

そこへやってきたのは、萩谷敏子という50代半ばの婦人。
一人息子・等を交通事故で亡くしたばかりの彼女が、
滋子に見せた等の絵は、何とも奇妙なもの。
彼女は等が「透視」能力者なのではないかと周りに言われたのです。
実際に、16年間、自宅の床下に眠り続けていて、
先ごろ遺体が発見された少女の事件を描いたと思しき絵が残っているのですが…、
この事件が発覚したときには、等はすでに事故死していたのです。
一体、等にどうしてこの絵が描けたのか…?


主人公は、前畑滋子と言ってよさそうですが、
滋子自身は、今回の事件の当事者ではありません。
過去に起こった事件の方が、滋子のもとにもたらされる、という展開。
だから、どこか間延びしたような、ゆっくり歩く感じの流れでした。
リアルタイムで事件が起こっているわけではないためでしょう。
そのため、展開がのんびりしていて、ちょっともどかしい感じ。
スピード感はないですね。日常の中に、徐々に食い込んでくるけれど、
当事者ではないので、逃げる気になれば逃げられる、という、
微妙にぬるい立ち位置なのです。
いきなり事件に巻き込まれるよりも、じわじわとはきますね。

やたらとのんびり、しかし着実に引き込まれていく滋子と読者。
気付いたらがんじがらめになっていそうで恐ろしいです。

まだまだ上巻では分からないことばかり。
下巻…気になりますね。


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文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★+
読 後 感 :★★★+
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菜の花の一押しキャラ…特になし


「わたしの先生は、中高生にそういう凄い両親の肖像を描かせて、こう言うんです。
この絵をずっととっておきなさい。これが、あなた方の若い魂が今現在認識している世界の姿です。
そして、いつかこの絵を一抹の含羞と深い愛情を持って眺められるような大人になりなさい」
  (花田 早苗)

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